DISCOGRAPHY
Lovin’ Junk
- 1.Lovin’ Junk
- 2.ノンシャランにゆけば feat.SHEILA
時代がどうとかジャンルがどうとかは差し置いて、とにかく度肝を抜いてくれる凄い音楽を……。
彼にはそういう期待をしていたし、だからこそ初めて「Lovin’ Junk」の音源を聴いた時は膝を叩いて大喜びをしたものだ。
SOUL’d OUT解散後、Diggy-MO’がソロ名義で世へ放つ最初の音源に選ばれた「Lovin’ Junk」。
そのグルーヴは歪んだギターとマーチングのようにタイトに刻まれるドラムに高揚感が煽られる大仰なイントロが豹変するサイケなエレクトロに連なる。
と同時に、Diggy-MO’の軽妙なラップがバウンスする4つ打ちに絡み合い、叙情的なヴァースからデリック・メイを思わせるストリングスの旋律がこだまして壮大なスケールへ。
次々に展開していく妙味なアレンジは、ソウルフルなフレヴァーが香るフックパートで頂点まで達するが、ひとつひとつ丁寧に創り込まれたサウンドを含めて、ただただ圧巻のクオリティである。
この6分強から得られる充足感や多幸感は尋常ではないが、かといってひけらかすような難解さは皆無だ。
フィジカルへ直結するダイナミズムや腰にクるグルーヴ、一発で脳裏に残る強烈なメロディまで。
自身も「総合力の方が大事だし、結局は“Fuckin’ Good Song”かどうかじゃないですか」と語る通り、理屈を超越した実に音楽らしい享楽を味わうことができる超大作、それが「Lovin’ Junk」なのだ。
すべての固定概念やイメージをゼロにして、フラットに味わってほしい
Text by Yuki Sugioka